銘柄分析;3179 シュッピン(Part2)

前回の続きです。

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5.個人投資家が”乗れた”のか

前回記事にてシュッピンの過去の上昇の背景を以下の3つに整理しました。

 

a)アベノミクスによる相場全体の上昇

b)インバウンド需要を追い風にした銘柄特有のカタリスト

c)業績上昇に裏付けられた割安度の見直し

 

a)アベノミクスによる相場全体の上昇

日経平均が2012年の8,000円代から2015年には20,000円(2.5倍!)をつけたくらいなので、増収増益企業を2012年、2013年に買ってずっと持っているだけで結構な利益を得ることができたと思われます。増収増益といえど、著しく割高な銘柄を買った場合にはその限りではないでしょうが。

 

b)インバウンド需要を追い風にした銘柄特有のカタリスト

インバウンドが需要は日本全体に少なからずメリットがあったものと思いますが、個別銘柄へはどの程度影響があったのでしょうか?

シュッピンのケースでは本店しかない店舗事業の前年度比売上が140%超を記録する等、その好影響がIRから伺い知ることができます。月次発表資料を見れば免税売上が大きく伸びていたことはわかりますし、決算説明資料でも同様です。

できれば月次資料、少なくとも決算説明資料に目を通していればインバンド需要の好影響、規模感は想像できたのではないでしょうか?

 

c)業績上昇に裏付けられた割安度の見直し

下表は2012年3月期から2016年3月期までの実績と、2013年5月発表の中計と2014年5月発表の中計を比較したものです。中計を上回るペースで成長が続いていたことがわかります。実際、私が2013年にシュッピンを購入した理由は「中計ベースの売上増加率を月次数値が大きく上回っていた」というものです。

この高成長を受けて、実績PERも一時40倍を超えるようになりました。

単位: 百万円            
全社累計 実績   中計(1305) 中計(1405)
Q YYYYMM 売上 経常益 売上 経常益 売上 経常益
4 201203 10,072 193        
4 201303 12,463 365        
4 201403 15,604 689 13,700 460    
4 201503 19,166 870 15,500 640 17,828 777
4 201603 22,705 821 17,500 870 20,994 1,061
4 201703         24,619 1,473

 

結論としてシュッピンは好業績をIRより推測できた銘柄であり、アベノミクスによる相場全体の上昇と、インバンド需要という実績を伴ったカタリスト、業績上昇に裏付けられた割安度の見直しにより個人投資家が大きく"乗る”ことのできた銘柄であると考えます。

 

6.適正PER

下表は実績EPSベースの最小PERと最大PERの推移を表にしたものです。

2015年3月期まで一貫した増収増益にも関わらず、PERが1ケタ台から40倍台までかなりのムラがあります。

 

単位: 百万円                
全社累計                
Q YYYYMM 売上 営業益 営業益率 EPS Max PER Min PER 高値 安値
4 201203 10,072 212 2.10% 7.52 0.00 0.00    
4 201303 12,463 390 3.13% 22.10 12.90 8.10 285 179
4 201403 15,604 702 4.50% 32.90 23.40 6.08 770 200
4 201503 19,166 886 4.62% 47.10 41.61 11.74 1,960 553
4 201603 22,705 832 3.66% 46.80 45.92 18.65 2,149

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 適正PERがどのくらいなのか明示的なものはありませんが、自分の中で適正PERを経験的に評価する習慣をつけておくと、PERのムラを刈って利益を得るチャンスが増えると考えています。